圧力計

読み仮名
あつりょくけい
英語表記
Pressure gauge
目次

概要

圧力計は、配管や設備内の水圧を測定する機器である。水道・工業用水道施設では、ポンプの吸込・吐出圧力、送配水管路の圧力、減圧弁の一次側・二次側圧力などを把握するために使用される。

圧力計には、ブルドン管式圧力計などの機械式と、電気信号によって圧力を監視する圧力伝送器などがある。正確な水圧を把握するためには、測定範囲や精度だけでなく、圧力取出し位置、設置高さ、圧力変動などを考慮した適切な選定と維持管理が重要である。

1.圧力計の基本

圧力は、単位面積当たりに作用する力を表す物理量であり、単位にはPa(パスカル)が用いられる。水道施設では、一般にkPa(キロパスカル)やMPa(メガパスカル)を使用し、1MPaは1,000kPaに相当する。

水圧は水頭に換算して表すことができ、静水圧と水頭の間には次の関係がある。

p=ρgh

  • p:圧力(Pa)
  • ρ:水の密度(kg/m³)
  • g:重力加速度(m/s²)
  • h:圧力水頭(m)

水の密度を1,000kg/m³、重力加速度を9.8m/s²とすると、水頭10mに相当する圧力は約0.098MPaとなる。実務では、水頭10mがおおむね0.1MPaに相当する関係を用いて、水圧と標高差を概算することが多い。

一般的な圧力計が表示するのは、大気圧を基準とするゲージ圧である。大気圧より高い状態を正圧、低い状態を負圧といい、絶対真空を基準とする絶対圧とは区別される。

また、管路内の水圧は、流れが停止している状態と流れている状態で異なる。流動時には摩擦などによる損失水頭が生じるため、圧力を評価する際には、水位や標高だけでなく、流量や運転状態も考慮する必要がある。

なお、流動時の管内圧力を意味する動水圧と、流速に対応する動圧(ρv²/2)は異なる概念である。

2.圧力計の主な種類と測定原理

水道・工業用水道施設では、測定対象や必要な精度、監視方法に応じて、さまざまな圧力計が使用される。代表的なものに、ブルドン管式圧力計、隔膜式圧力計、圧力伝送器がある。

2.1 ブルドン管式圧力計

ブルドン管式圧力計は、金属管の弾性変形を利用して圧力を測定する機器である。代表的な構造では、断面が扁平な金属管をC字形に曲げたブルドン管を使用する。

ブルドン管の一端は圧力導入口に固定され、もう一端は閉じられた自由端となっている。管内に圧力が加わると、ブルドン管は曲がりを小さくする方向に変形し、その自由端が移動する。

ブルドン管式圧力計の内部構造と、加圧によってブルドン管の自由端が移動し、リンクと歯車を介して指針が回転する仕組みを示す図

自由端の変位は、リンクや歯車などの機構を介して指針の回転に変換される。構造が比較的簡単で、外部電源を必要としないため、ポンプ設備や管路の現場指示用として広く使用されている。

一方、圧力の脈動や配管の振動が大きい場合には、指針の振れや内部機構の摩耗が生じやすい。また、過大な圧力が作用すると、ブルドン管に永久変形が生じ、指示値のずれや故障につながる場合がある。

2.2 隔膜式圧力計

隔膜式圧力計は、ダイアフラムと呼ばれる薄い膜の変形を利用して圧力を測定する機器である。ダイアフラムの変形を機械的に指針へ伝える方式や、封入液を介して圧力を伝達する方式などがある。

測定対象と計器の感圧部を隔離する構造では、腐食性のある液体や固形物を含む液体などの圧力測定に適している。水道施設では、薬品注入設備や汚泥処理設備など、測定対象の性状によって一般的な圧力計が使用しにくい場合に採用される。

ただし、隔膜の材質や構造、封入液の特性などによって、使用できる圧力範囲や温度条件が異なる。測定対象の性状に適した機器を選定するとともに、隔膜の損傷や付着物による測定不良に注意する必要がある。

2.3 圧力伝送器

圧力伝送器は、圧力を電気信号に変換し、監視制御装置などへ伝送する機器である。圧力による感圧素子の変形を検出し、ひずみや静電容量などの変化から圧力を求める方式がある。

代表的な出力方式には4〜20mAの直流電流信号があり、測定した圧力を遠方の監視制御設備へ伝送できる。現場表示機能を備えた機器もあり、中央監視と現場確認の両方に利用される。

ブルドン管式圧力計による指針表示と、ダイアフラムなどで検出した圧力を電気信号に変換して出力する圧力伝送器の構造を比較した図

水道・工業用水道施設では、ポンプの吐出圧力や送配水管路の圧力を連続監視し、警報の発報やポンプの運転制御などに利用する。電子式のため、機器の故障だけでなく、電源や配線、信号変換、監視制御装置の設定なども測定値に影響する。

圧力伝送器では、測定範囲の下限値と上限値、その差であるスパンの設定が重要である。例えば、測定範囲0〜1.0MPaを4〜20mAで出力する場合、通常は0MPaが4mA、1.0MPaが20mAに対応する。機器側の設定と監視制御装置側の換算設定が一致していない場合には、実際の圧力と表示値が異なることがある。

なお、大気圧より低い圧力を測定する場合には真空計、正圧と負圧の両方を測定する場合には連成計を使用する。また、ろ過設備などで二つの測定点の圧力差を把握する場合には、差圧計や差圧伝送器が用いられる。

3.圧力計の精度と測定範囲

圧力計を選定する際には、通常運転時の圧力だけでなく、起動・停止時の圧力変動や想定される異常圧力を考慮する必要がある。測定範囲が適切でなければ、必要な精度が得られないだけでなく、過大圧力によって計器が損傷する場合がある。

3.1 測定範囲と精度

圧力計の測定範囲は、測定できる圧力の下限から上限までの範囲である。一般的な正圧用のブルドン管式圧力計では、0〜0.6MPa、0〜1.0MPaなど、測定範囲の異なる製品が用意されている。

ブルドン管式圧力計では、常用圧力が測定範囲の上限に近すぎると、圧力変動などによって過大な負荷を受けやすい。長野計器の標準形圧力計では、常用圧力の上限を、一定圧力の場合は測定範囲上限の3/4以下、変動圧力の場合は2/3以下とする選定目安が示されている。

例えば、通常圧力が0.5MPaで変動する設備に、同社のこの選定目安を適用する場合、0〜0.6MPaの圧力計では余裕が不足する。一方、0〜1.0MPaであれば通常圧力は測定範囲の中央付近となり、指示値も読み取りやすい。

ただし、この数値は製品資料に基づく選定目安であり、すべての圧力計に一律に適用するものではない。採用する機種の仕様と、実際に発生する圧力条件を照合する必要がある。

圧力計の精度は、指示値と基準となる圧力との差が、どの程度の範囲に収まるかを示す性能である。JIS B 7505-1では、ブルドン管圧力計の精度等級として0.6級、1.0級、1.6級、2.5級、4.0級が規定されており、最大許容誤差は圧力スパンに対する百分率で表される。ただし、最大許容誤差は目盛範囲によって異なり、圧力伝送器についても製品ごとに精度表示の基準や保証条件を確認する必要がある。

例えば、測定範囲0〜1.0MPa、精度1.6級のブルドン管圧力計では、中央部の規定された目盛範囲における最大許容誤差は±0.016MPaとなる。測定圧力が低い場合には、誤差が測定値に占める割合が大きくなるため、必要以上に広い測定範囲を選ばないことが重要である。

3.2 圧力変動と機器の選定

ポンプの起動・停止や弁の操作に伴って、管路内の圧力は変動する。特に、水撃作用によって短時間に大きな圧力変化が生じる場合には、通常運転時の圧力だけを基準に圧力計を選定すると、機器の損傷につながるおそれがある。

圧力の脈動が大きい設備では、指針の振れを抑える液封式圧力計や、圧力変動を緩和するダンパなどを使用することがある。ただし、これらの機器は急激な圧力変動に対する指示の応答を遅らせる場合があり、水撃作用の最大圧力を測定する目的には適さないことがある。

また、ポンプの吸込側などでは負圧が生じる場合があるため、想定される圧力範囲に応じて連成計や負圧に対応した圧力伝送器を選定する。必要な精度、接液部の材質、周囲温度、湿度、振動、電気的な使用環境なども考慮する必要がある。

4.設計・施工上の留意点

圧力計の測定値は、機器自体の性能だけでなく、圧力取出し位置や設置方法によって影響を受ける。特に、圧力取出し口の閉塞、導圧管内の空気、計器との高低差などは、測定誤差や応答遅れの原因となる。

4.1 圧力取出し位置と設置高さ

圧力取出し位置は、測定したい圧力を適切に把握できる場所に設ける必要がある。一般的な管壁の圧力取出し口では、管内の局所的な静圧を測定する。ポンプや弁の直近では、流れの乱れや圧力脈動の影響を受ける場合があるため、測定目的に応じて取出し位置を選定することが重要である。

また、圧力取出し点と圧力計の設置高さが異なる場合には、その高低差によって指示圧力が変化する。導圧管内が水で満たされ、静水圧差を考える場合、圧力計位置と取出し点の圧力には次の関係がある。

p_g=p_t+ρg(z_t-z_g)

  • p_g:圧力計位置での圧力(Pa)
  • p_t:圧力取出し点での圧力(Pa)
  • z_g:圧力計の標高(m)
  • z_t:圧力取出し点の標高(m)

例えば、圧力計を圧力取出し点より5m高い位置に設置すると、圧力計の指示圧力は取出し点の圧力より約0.049MPa低くなる。反対に、圧力計を低い位置に設置した場合には、その高低差に相当する圧力だけ高くなる。

圧力取出し口と元弁を設けた基本構成、取出し点と計器の高低差による指示圧力の変化、導圧管内の空気だまりや振動による影響を示す図

この関係は、導圧管内が水で満たされていることなどを前提としている。導圧管内に空気が滞留している場合には、水で満たされた場合と圧力伝達の条件が異なり、測定値の応答や安定性にも影響する。

そのため、圧力計の表示値を管路の圧力として評価する場合には、圧力取出し位置、設置高さ、導圧管の状態を確認する必要がある。

4.2 配管・付属機器と設置環境

圧力計の取出し配管には、計器の点検や交換ができるよう、必要に応じて元弁を設ける。元弁によって圧力計を管路から切り離すことで、設備全体を停止せずに点検や交換を行える場合がある。

ただし、元弁を閉じた状態では、圧力計は管路の現在圧力を示さない。閉止後に指示値が変化しない場合でも、計器内に圧力が残っていることがあるため、交換時には残圧を十分に抜く必要がある。

導圧管は、空気だまりや堆積物による閉塞が生じにくく、必要に応じて排気や排水ができる構造とする。特に、管路の高い位置に設けた取出し配管では、空気の滞留によって測定値の応答が遅くなる場合がある。

また、圧力計をポンプなどの振動が大きい機器に直接取り付ける場合には、振動による故障に注意する。必要に応じて計器を別の支持部に設置し、適切な導圧配管や振動対策を採用する。

屋外に設置する場合には、凍結、腐食、雨水、直射日光などの影響を考慮する。圧力計の指示部が安全かつ容易に確認でき、点検や交換のための作業スペースを確保できることも重要である。

5.運転・維持管理上の留意点

水道・工業用水道施設では、圧力計の測定値をポンプの運転管理、送配水圧力の監視、減圧弁の作動確認などに利用する。圧力の異常は、管路や設備の状態変化を示す場合がある一方、計器や測定配管の不具合によって生じることもある。

5.1 圧力値の監視と異常判断

圧力値を監視する際には、単独の測定値だけでなく、通常時の値や運転条件との関係を確認することが重要である。ポンプの吐出圧力であれば、流量や運転台数、吸込圧力などと照合することで、運転状態を把握しやすくなる。

送配水管路では、流量の増減や水位の変化によって圧力が変動する。特に工業用水道では、受水事業所の操業状況によって使用水量が大きく変化する場合があるため、供給圧力の変化を流量と併せて監視することが重要である。

圧力が通常より低下した場合には、需要量の増加、ポンプの運転状態、管路の漏水などが考えられる。一方、圧力の上昇は、流量の減少や弁の閉鎖などによって生じる場合がある。

ただし、圧力値の変化だけで原因を特定することはできない。周辺の圧力計や流量計の値、ポンプ・弁の運転記録などを照合し、設備の異常と計測系統の不具合を区別する必要がある。

指針が激しく振れる場合には、圧力脈動や機械的な振動の影響が考えられる。また、指示値が変化しない場合には、元弁の閉止、圧力取出し口の閉塞、計器内部の故障などを確認する。

圧力伝送器の値が現場指示計と大きく異なる場合には、計器の精度や設置高さの違いに加え、ゼロ点・スパンの設定、配線や信号変換、監視制御装置の設定なども確認する必要がある。

5.2 点検・校正と更新

圧力計の点検では、指示値だけでなく、外観、接続部の漏水、腐食、指針の振れ、元弁や導圧管の状態などを確認する。特に、水撃作用や振動を受ける設備では、外観に異常がなくても内部機構の劣化や精度低下が生じている場合がある。

機械式圧力計では、圧力を安全に解放した状態で、指針がゼロ位置を示すか確認することが基本となる。ただし、ゼロ点が正常でも、測定範囲全体の精度が保証されるわけではない。必要な精度を確認する場合には、基準となる計器や校正装置を用いて複数の圧力点で比較する。

圧力伝送器では、測定圧力に対応した出力信号が得られているかを確認するとともに、監視制御装置の表示値まで含めて点検することが重要である。現場で正常な信号が出力されていても、伝送系統や換算設定の異常によって中央監視の値が不正確になる場合がある。

また、圧力計を更新する際には、測定範囲や接続口径だけでなく、精度、接液部材質、耐圧性能、振動への対応などを確認する。圧力伝送器の場合には、電源仕様、出力信号、測定範囲、監視制御装置の設定との整合も必要となる。

圧力計は、設備の状態を把握するための基本的な計測機器である。指示値を正しく読み取るだけでなく、測定条件と計器の状態を理解し、他の運転情報と併せて評価することが、安定した水道施設の運転管理につながる。

関連用語

参考資料

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この記事を書いた人

ふるさん
みずみちノートの執筆者・案内役

水道施設に古くから関わっている「古株」のフクロウ。上水道・工業用水道の技術を、基礎から現場での実務までわかりやすく案内します。

技術監修: 技術士(上下水道部門)

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