- 読み仮名
- ぽんぷこうりつとじくどうりょく
- 英語表記
- Pump Efficiency and Shaft Power
概要
ポンプ効率とは、ポンプの軸に与えられた動力のうち、水に有効なエネルギーとして伝えられた割合を表す指標である。ポンプの運転には電動機などの原動機から動力を供給する必要があり、その動力の一部はポンプ内部の損失として消費される。
ポンプ効率は流量や全揚程などの運転条件によって変化する。同じ流量と全揚程で送水する場合でも、ポンプ効率が異なれば必要な軸動力が変わり、電動機の消費電力にも影響する。
ポンプ設備の設計や運転管理では、水動力、軸動力、入力電力の関係を理解し、ポンプ効率と電動機効率を区別して評価することが重要である。
1.水動力・軸動力・入力電力の違い
ポンプ設備では、電動機が電気エネルギーを機械的な動力に変換し、ポンプがその動力を水に伝える。エネルギーの変換過程では損失が発生するため、電動機への入力電力がすべて水動力になるわけではない。
これらの動力は、次のように区別される。
| 項目 | 説明 |
|---|---|
| 入力電力(P_e) | 電動機に供給される電力。単位はkW |
| 軸動力(P_s) | ポンプの軸に伝達される機械的な動力。単位はkW |
| 水動力(P_w) | ポンプが水に与える有効な動力。単位はkW |
電動機とポンプを直結した設備では、電動機の軸出力がポンプの軸動力となる。ただし、電動機内部やポンプ内部にはそれぞれ損失が存在する。
一般に、これらの損失があるため、入力電力、軸動力、水動力の順に値が小さくなる。インバータや減速機などを使用する場合には、それらの機器で発生する損失も考慮する必要がある。
2.水動力の計算
水動力とは、ポンプが単位時間当たりに水へ与えるエネルギーであり、流量と全揚程から求められる。
水動力は、次の式で表される。
P_w = ρgQH
ここに、
- P_w:水動力(W)
- ρ:水の密度(kg/m³)
- g:重力加速度(m/s²)
- Q:流量(m³/s)
- H:ポンプの全揚程(m)
である。
清水の密度を約1,000 kg/m³、重力加速度を約9.8 m/s²とすると、水動力をkWで表す式は次のようになる。
P_w(kW)≒ 9.8QH
この式では、流量Qをm³/s、全揚程Hをmで代入する。流量の単位がm³/minなどの場合は、m³/sに換算して計算する必要がある。
なお、ここで用いるHはポンプの全揚程であり、単純な水位差や吐出圧力だけを表すものではない。吸込側と吐出側の圧力水頭、速度水頭、位置水頭の差から求められる。
3.ポンプ効率と軸動力の関係
ポンプ効率は、水動力を軸動力で除して求められる。
η_p = P_w / P_s
ここに、
- η_p:ポンプ効率
- P_w:水動力(kW)
- P_s:軸動力(kW)
である。
したがって、必要な軸動力は次の式で求められる。
P_s = P_w / η_p
ポンプ効率は通常、百分率で表示されるが、動力の計算では80%を0.80のような小数で使用する。
ポンプ内部では、羽根車や流路における水力損失、内部漏れによる容積損失、軸受や軸封部などの機械損失が発生する。これらの損失があるため、軸動力は水動力より大きくなる。
また、電動機効率は次の式で表される。
η_m = P_s / P_e
ここに、η_mは電動機効率、P_eは電動機への入力電力である。
電動機とポンプを直結し、その他の伝達損失を無視できる場合、入力電力は次のようになる。
P_e = P_w /(η_p × η_m)

例えば、電動機への入力電力が100 kW、電動機効率が90%、ポンプ効率が80%の場合、軸動力は90 kW、水動力は72 kWとなる。
このとき、電動機で10 kW、ポンプで18 kWの損失が発生する。電動機とポンプを合わせた効率は72%となり、ポンプ効率80%とは異なる。
4.運転流量とポンプ効率
ポンプ効率は一定ではなく、運転流量によって変化する。一般的な遠心ポンプでは、流量の小さい領域から流量が増加するにつれて効率が高くなり、ある流量で最高効率に達した後、さらに流量が増加すると効率が低下する。
この最高効率となる運転点を、最高効率点(BEP:Best Efficiency Point)という。
ポンプの性能曲線には、流量と全揚程の関係だけでなく、効率や軸動力などの特性も示される。実際の運転点は、ポンプの流量・全揚程曲線と管路の抵抗特性によって決まるため、必ずしもBEPと一致するわけではない。

例えば、水動力が72 kWとなる同一の流量・全揚程条件で、効率の異なるポンプを比較すると、ポンプ効率80%の場合は軸動力90 kW、60%の場合は120 kWが必要となる。
同じ流量と全揚程で運転する条件では、ポンプ効率が低いほど必要な軸動力は大きくなる。ただし、実際のポンプでは流量の変化に伴って全揚程や水動力も変化するため、軸動力の増減はポンプの性能曲線に基づいて確認する必要がある。
また、効率が最高となる点だけで運転条件を判断することは適切ではない。ポンプには使用可能な運転範囲があり、必要有効吸込ヘッド(NPSH)、最小流量、振動、騒音などの条件を総合的に確認する必要がある。
5.軸動力と原動機容量の選定
ポンプ設備の電動機容量を選定する際には、必要な流量と全揚程から水動力を求め、ポンプ効率を考慮して軸動力を算出する。
ただし、原動機容量は、計画上の一点で求めた軸動力だけで決めるものではない。実際の運転では流量や全揚程が変化し、それに伴って軸動力も変動するため、想定する運転範囲における最大軸動力を確認する必要がある。
また、電動機の定格出力と運転時の入力電力は異なる。
| 項目 | 説明 |
|---|---|
| 電動機の定格出力 | 電動機が定格条件で連続的に発生できる機械的な軸出力 |
| 運転時の軸動力 | 実際の運転点でポンプを駆動するために必要な動力 |
| 運転時の入力電力 | 電動機が電源から受け取る電力。電動機損失を含む |
例えば、運転時の軸動力が90 kWで、電動機効率が90%の場合、入力電力は100 kWとなる。しかし、この100 kWは電動機の定格出力を意味するものではない。
電動機容量の選定では、想定される運転範囲における最大軸動力を確認し、必要な余裕を考慮して定格出力を決定する。ただし、余裕を過大に設定すると設備の大型化につながるため、ポンプの特性、始動条件、運転方式などを踏まえて適切に選定することが重要である。
6.運転管理と省エネルギー
ポンプ設備の省エネルギーを検討する際には、ポンプ効率だけでなく、実際の運転流量、全揚程、電動機効率などを含めて評価する必要がある。
ポンプの運転点がBEPから大きく離れると、効率が低下し、必要な軸動力に対して有効な水動力の割合が小さくなる場合がある。一方、BEP付近で運転していても、必要以上の流量や全揚程を確保していれば、設備全体として省エネルギーになるとは限らない。
インバータによる回転速度制御やポンプの台数制御は、需要量の変化に応じて運転状態を調整する方法である。ただし、回転速度や運転台数が変わればポンプの運転点も変化するため、効率を一定として評価することは適切ではない。
運転管理では、流量、吸込・吐出圧力、電動機の入力電力などを継続的に確認し、必要な送水量と圧力を確保できているかを判断する。
また、ポンプ設備の消費電力量は、運転時の入力電力と運転時間によって決まる。運転状態が変化する場合は、各時間帯の入力電力を考慮する必要があるため、省エネルギーの評価では流量の時間変動、運転時間、電動機やインバータの損失なども重要となる。
なお、電動機の入力電力からポンプ効率を算出する場合には、電動機やインバータなどの損失を分けて評価する必要がある。入力電力をそのままポンプの軸動力として扱うと、ポンプ効率を正しく求めることができない。
関連用語
参考資料
- JIS B 8301:2018『遠心ポンプ,斜流ポンプ及び軸流ポンプ―試験方法』

