ストレーナ

読み仮名
すとれーな
英語表記
Strainer
目次

概要

ストレーナは、配管内を流れる水に含まれる異物をスクリーンで捕捉し、下流の弁類や機械設備を保護するための機器である。減圧弁など、異物の噛み込みや作動不良が懸念される機器の上流側に、必要に応じて設置される。

内部には金網や多数の小孔を設けたスクリーンがあり、水を通過させながら比較的大きな異物を捕捉する。一方、スクリーンの目詰まりが進むと圧力損失が増加するため、適切な選定と定期的な維持管理が重要である。

1.ストレーナの基本

ストレーナは、水に含まれる砂粒、さび、スケール、配管工事で混入した異物などを捕捉するために用いられる。これらの異物が弁座や機器内部に入り込むと、閉止不良や摩耗、作動不良などの原因となる。

ストレーナでは、一般にスクリーンの開口より大きな異物を捕捉する。ただし、捕捉性能は異物の形状やスクリーンの構造などによって変化し、すべての異物を完全に除去できるものではない。

1.1 ストレーナとフィルターの違い

ストレーナとフィルターは、いずれも流体中の異物を除去する機器である。一般にストレーナは下流機器の保護、フィルターは流体の清浄度の向上を主な目的として使い分けられることが多い。

ただし、両者の名称には明確に統一された境界があるわけではなく、用途や製品構造によって呼び方が異なる場合がある。

また、一般的なストレーナは、浄水処理におけるろ過設備のように微細な懸濁物質を除去することを主目的としない。水に溶解した物質や、スクリーンを通過する微細な粒子を除去することもできない。

2.ストレーナの種類と構造

ストレーナには、本体の形状やスクリーンの配置、清掃方法などによって複数の形式がある。代表的なものはY形とU形であり、用途によってストレート形、複式、自動洗浄式なども使用される。

Y形とU形ストレーナの内部構造を比較し、水がスクリーンの内側から外側へ通過する際に異物を捕捉する仕組みと、スクリーンの取出し方向を示す図

2.1 Y形ストレーナ

Y形ストレーナは、本体から斜めに分岐した部分にスクリーンを収納する構造である。比較的コンパクトで、配管途中や減圧弁などの上流側に設置されることが多い。

水は本体内部のスクリーンを通過し、異物はその流入側に捕捉される。清掃時には、機種に応じてふたを取り外し、スクリーンに堆積した異物を除去する。

2.2 U形ストレーナ

U形ストレーナは、比較的大きなスクリーンを本体内部に設ける形式である。上部のふたを開けてスクリーンを取り出す製品もあり、清掃や点検を行いやすい構造となっている。

スクリーンの構造や有効通過面積は製品によって異なり、流量や圧力損失、清掃方法などを考慮して選定する。

2.3 その他の形式

形式特徴
ストレート形流路の曲がりを抑えた構造などにより、圧力損失の低減を図る形式
複式複数のスクリーンを切り替え、通水を継続しながら片側を清掃できる形式
自動洗浄式差圧やタイマーなどによって洗浄機構を作動させ、異物を排出する形式

形式ごとに内部流路やスクリーンの配置が異なるため、名称だけで構造や性能を判断せず、採用する製品の仕様を確認する必要がある。

2.4 スクリーンと目開き

スクリーンには、金網やパンチングメタルなどが使用される。異物の捕捉性能を表す指標として、目開きやメッシュが用いられる。

目開きはスクリーンの開口寸法を示し、メッシュは一般に1インチ当たりの網目数を示す。同じメッシュ数でも線径によって目開きが異なるため、メッシュ数だけで捕捉できる異物の大きさを判断することはできない。

スクリーンの目開きは捕捉対象となる異物の大きさに関係し、開口率や有効通過面積は通水時の圧力損失に影響する。同じ目開きでもスクリーンの構造や大きさによって通水性能が異なるため、異物捕捉性能と圧力損失の両方を確認する必要がある。

目開きを細かくすると小さな異物を捕捉しやすくなる一方、目詰まりが生じやすくなる場合がある。そのため、保護対象機器の要求条件や水質、維持管理の頻度を考慮して選定する。

3.異物捕捉と圧力損失

ストレーナでは、水がスクリーンを通過する際に流れの抵抗が生じる。この抵抗によって発生する圧力損失は、流量やスクリーンの形状、有効通過面積、異物の堆積状況などによって変化する。

3.1 流量と圧力損失

一般に、ストレーナを通過する流量が増加すると圧力損失も大きくなる。これはスクリーンや本体内部の流路が水の流れに抵抗を与えるためであり、管路の摩擦損失とは区別して扱う局部損失の一つである。

圧力損失の大きさは製品の形式や構造によって異なるため、設計時にはメーカーの圧力損失特性を確認する必要がある。

3.2 目詰まりによる差圧の変化

スクリーンに異物が堆積すると、水が通過できる面積が減少し、流れの抵抗が増加する。同じ流量で比較した場合、目詰まりが進むほどストレーナ前後の圧力差は一般に大きくなる。

ストレーナの一次側圧力をP1、二次側圧力をP2とすると、前後の差圧ΔPは次のように表される。

ΔP=P1-P2

同じ流量条件におけるY形ストレーナの清掃後と目詰まり時を比較し、スクリーンへの異物堆積によって一次側と二次側の差圧が増加することを示す図

差圧は目詰まりの程度を判断するための有効な指標であるが、流量によっても変化する。そのため、過去の差圧と比較する場合は、できるだけ同程度の流量条件で評価することが重要である。

また、目詰まりによって流量自体が低下した場合には、差圧の上昇が明確に現れないこともある。差圧だけでなく、流量や下流側圧力の変化を併せて確認する必要がある。

目詰まりによって圧力損失が増加すると、下流側の圧力や流量が不足する場合がある。特にポンプ吸込側では、利用可能なNPSHが減少し、キャビテーションの発生リスクが高まることがある。

4.ストレーナの選定と設置

ストレーナの選定では、異物の捕捉性能だけでなく、流量や圧力損失、維持管理のしやすさを総合的に考慮する必要がある。

4.1 選定時の確認事項

項目確認内容
呼び径・流量計画流量を通水でき、圧力損失が過大とならないこと
目開き保護対象機器の要求条件と水中の異物に適合すること
材質水質や使用環境に適した耐食性・耐久性を有すること
使用圧力最大使用圧力や想定される圧力変動に対応できること
維持管理スクリーンの清掃・交換が可能な構造であること

必要に応じて、使用温度、異物の混入量、スクリーンの有効通過面積、許容差圧なども確認する。

4.2 設置位置と流れ方向

ストレーナは、保護する機器の上流側に設置することが基本である。設置に当たっては、本体に表示された流れ方向を確認し、採用機種の施工要領に従って適切な姿勢で取り付ける。

Y形ストレーナでは、スクリーン収納部を下向きに設置する例があるが、すべての形式に共通するものではない。配管が水平か垂直かによっても設置条件が異なるため、製品の仕様を確認する。

4.3 清掃・点検スペース

スクリーンの清掃や交換を行うためには、ふたの開閉やスクリーンの取り出しに必要なスペースを確保する必要がある。

また、維持管理に伴う通水停止が必要な設備では、ストレーナの前後に制水弁を設けることがある。点検時の排水や残圧解放を安全に行える設備構成とすることも重要である。

U形ストレーナの前後に制水弁と圧力計を設置し、下部のドレン弁、スクリーン取出し空間、点検時の排水と残圧解放を示す配管構成図

4.4 他の設備への影響

流量計の近傍に設置する場合は、ストレーナによる流れの乱れが測定精度に影響しないよう、必要な直管長や設置条件を確認する。

また、ポンプの吸込側では圧力損失が吸込条件に影響するため、ストレーナの設置による機器保護と利用可能なNPSHの確保を両立させる必要がある。

5.運転・維持管理

ストレーナは、使用に伴ってスクリーンに異物が堆積するため、定期的な点検と清掃が必要である。目詰まりを放置すると、流量不足や下流設備の圧力低下につながる場合がある。

5.1 差圧の監視

ストレーナ前後に圧力計や差圧計を設けることで、スクリーンの目詰まり状況を把握しやすくなる。

差圧が増加した場合は、流量などの運転条件を確認したうえで、目詰まりの可能性を判断する。清掃の基準となる差圧は、メーカーの推奨値や施設の管理基準に基づいて設定する。

5.2 スクリーンの清掃

清掃時には、必要に応じて前後の制水弁を適切に閉止し、下流側などからの逆流や再加圧を防止する。排水と残圧解放を行ったうえで、内部が無圧であることを確認してから分解する。

圧力が残った状態でふたを取り外すと、部品の飛散や漏水などの危険がある。具体的な作業方法は、メーカーの取扱説明書と施設の作業手順に従う。

スクリーンを取り出した後は、堆積した異物を除去するとともに、変形や破損、腐食などの有無を確認する。

5.3 主な異常と確認事項

異常主な確認事項
差圧の増加スクリーンの目詰まり、流量の変化
流量の低下異物の堆積、上流側の供給条件
異物の流出スクリーンの破損、取付状態
本体からの漏水ふた部のパッキン、接合部、腐食
異常な振動・音流量条件、内部部品の状態、支持状況

点検では、スクリーンだけでなく、本体やふた部、ガスケットなどの状態も確認する。清掃後は組立状態と漏水の有無を確認し、必要に応じて差圧や流量が正常な状態に戻ったことを確かめる。

6.水道・工業用水道における活用

ストレーナは、上水道や工業用水道の弁類、機械設備、計装機器などを保護する目的で使用される。特に、異物の混入が機器の作動に影響する場合には、上流側への設置が有効な対策となる。

減圧弁では、弁座やパイロット機構などへの異物混入を防ぐためにストレーナが用いられる。逆止弁や各種制御弁でも、機器の構造や使用条件に応じて設置が検討される。

流量計などの計装機器では、保護の必要性と測定条件を確認したうえで設置の可否を判断する。また、ポンプ設備では、圧力損失や吸込条件への影響を考慮する必要がある。

工業用水道では、需要者側の設備を保護するためにストレーナを設置する場合がある。異物の混入状況や水質、計画流量、許容圧力損失などを考慮し、適切な形式とスクリーンを選定することが重要である。

また、管路工事や機器更新の後には、切粉、さび、シール材などの異物が配管内に残る場合がある。このような異物が下流設備に流入することを防ぐため、十分な洗管や必要に応じたストレーナの設置などを検討する。

ストレーナは異物対策に有効な機器であるが、設置するだけで管路内の問題を解消できるものではない。管路の清掃、水質管理、適切な運転・維持管理と組み合わせて使用することが重要である。

関連用語

参考資料

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この記事を書いた人

ふるさん
みずみちノートの執筆者・案内役

水道施設に古くから関わっている「古株」のフクロウ。上水道・工業用水道の技術を、基礎から現場での実務までわかりやすく案内します。

技術監修: 技術士(上下水道部門)

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