- 読み仮名
- せいすいべん
- 英語表記
- isolation-valve
概要
制水弁は、水道管路に設置し、水の流れを遮断したり、流量を調整したりするための弁である。主に送水管や配水管などに設置され、通常の運転管理だけでなく、管路の工事や漏水事故などが発生した際にも重要な役割を果たす。
代表的なものには仕切弁とバタフライ弁があり、それぞれ構造や流量特性が異なる。このため、操作する際には、それぞれの特徴を理解しておく必要がある。
1.制水弁の役割
制水弁の主な役割は、管路内の流水を遮断することである。配水管の分岐点や重要な管路の途中などに設置し、必要な制水弁を閉止することで、工事や漏水事故の際に対象区間を切り離すことができる。これにより、断水範囲を限定し、他の区域への給水を継続することが可能となる場合がある。
また、制水弁は管路の流量を変化させることもできる。ただし、弁の種類によって流量特性が異なるため、その使用方法には注意が必要となる。
2.制水弁の種類と構造
代表的な制水弁には、仕切弁とバタフライ弁がある。

仕切弁
仕切弁は、弁棒の操作によって弁体を上下させ、水路を開閉する構造である。全開時には弁体が流路から退くため、通水時の圧力損失が比較的小さく、主に全開・全閉での使用を基本とする。
バタフライ弁
バタフライ弁は、円板状の弁体を弁棒を軸として回転させ、水路を開閉する構造である。仕切弁と比較して小型・軽量にでき、大口径の管路にも広く使用される。ただし、全開時にも弁体が流路内に残るため、弁体による圧力損失が生じる。
3.弁開度と流量の関係
制水弁を操作する際に理解しておきたいのが、弁開度と流量は比例しないということである。
弁開度は、全閉を0%、全開を100%として表す。しかし、弁開度が50%になったからといって、通水断面積や流量が全開時の50%になるわけではない。また、仕切弁とバタフライ弁では、開度に対する流量の変化も異なる。

仕切弁では、管路条件にもよるが、開度が30%程度で全開時の70~80%程度が流れる。一方、バタフライ弁は、仕切弁に比べて開度と流量の関係が比較的なだらかであるが、比例関係ではない。このため、弁の操作量だけで流量の変化を判断することはできない。
なお、図2は一般的な傾向を示した概念図であり、実際の流量特性は弁の形式や前後の圧力差、管路損失などによって変化する。
4.制水弁の操作と維持管理
4.1 開閉方向の確認
制水弁には、左回りに操作すると開く「左回り開き」と、右回りに操作すると開く「右回り開き」がある。開閉方向は事業体によって異なる場合があり、同じ管路に方向の異なる弁が設置されていることもある。
水道用バルブの操作キャップは、一般にツバの有無によって開閉方向を識別できる。

左回り開きのキャップにはツバがあり、その部分に開閉方向を示す矢印が設けられている。ただし、キャップの交換履歴や仕様の違いも考えられるため、実際の操作では設備台帳や納入図などでも開閉方向を確認する必要がある。
4.2 操作による流量・圧力の変化
制水弁を急激に操作すると、管路内の流量や圧力が大きく変化する場合がある。特に仕切弁は、小さな開度でも流量が大きく変化するため、開け始めや閉め終わり付近での操作には注意が必要となる。急激な閉止は水撃作用(ウォーターハンマー)を引き起こし、管路や設備の損傷につながる。
また、長期間操作していない弁を開閉すると、内部に付着した錆や堆積物が剥がれ、濁水が発生することもある。このため、管路の状況を把握したうえで、流量や圧力の変化を確認しながら慎重に操作することが求められる。
4.3 過大な操作力による破損
制水弁を操作する際には、必要以上の力を加えないことが重要である。全開・全閉位置を超えて無理に操作したり、固着した弁を強い力で動かそうとしたりすると、弁棒や減速機などの損傷を招く。
特に減速機を備えたバタフライ弁では、全閉時の過大な操作力によって、歯車箱やストッパーを破損するおそれがある。操作前には開閉方向や全開・全閉位置を確認し、異常な抵抗を感じた場合には無理に操作を続けず、原因を確認する。
4.4 キャビテーションと維持管理
仕切弁やバタフライ弁を中間開度で使用すると、圧力条件によっては弁内部でキャビテーションが発生する場合がある。キャビテーションが発生すると、異音や振動を伴い、その状態で使用を続けると、弁体や弁箱などの損傷につながる。
ただし、異音や振動の原因はキャビテーションに限らないため、発生した場合には運転状態を確認し、原因を調査する。一般的な遮断用の制水弁を継続的な流量調整に使用することは避け、必要に応じて流量調整に適した弁を選定する。
また、長期間操作しない制水弁は固着や開閉不良を生じる場合があるため、点検や計画的な作動確認が欠かせない。開閉方向、操作回転数、開度、操作時の異常なども記録しておくことが望ましい。

