- 読み仮名
- りゅうりょうけい
- 英語表記
- Flow meter
概要
流量計は、管路や水路を流れる水の量を測定する機器である。水道・工業用水道施設では、浄水場の送水量、配水管路の流量、受水事業所への供給量などを把握するために使用される。
流量計には、電磁流量計、差圧式流量計、超音波流量計などがあり、それぞれ測定原理や設置条件が異なる。正確な流量を把握するためには、使用条件に適した機器の選定と、適切な設置・維持管理が重要である。
1.流量計の基本原理
水道施設では、一般に単位時間当たりに流れる水の体積を表す体積流量が用いられる。流量の単位には、m³/s、m³/h、L/minなどがある。
管路の体積流量は、断面積と断面平均流速から次の式で求められる。
Q=A×v
- Q:体積流量(m³/s)
- A:管路の断面積(m²)
- v:断面平均流速(m/s)
ただし、実際の管路では流速が断面内で一様ではないため、測定方式に応じた補正や演算によって流量を求める。
また、流量計で扱う値には、単位時間当たりの流量を示す瞬時流量と、一定期間に流れた水の総量を示す積算流量がある。送配水の運転制御では瞬時流量を、供給水量の管理や使用水量の計量では積算流量を利用する。
2.流量計の主な種類と測定原理
水道・工業用水道施設では、管径や流量範囲、必要な精度などに応じて、さまざまな流量計が使用される。代表的なものに、電磁流量計、差圧式流量計、超音波流量計がある。
2.1 電磁流量計
電磁流量計は、ファラデーの電磁誘導の法則を利用して流量を測定する機器である。磁界中を導電性のある水が流れると、磁界と流れの両方に直交する方向に起電力が生じる。
測定管の外側に設けた励磁コイルによって磁界を発生させ、管内壁に対向して設置した電極で起電力を検出する。この起電力は断面平均流速に比例するため、測定管の断面積から体積流量を算出できる。

電磁流量計は、測定管内に流れを絞る機構がないため、流量計自体による圧力損失が小さい。また、可動部がなく、比較的広い流量範囲で測定できることから、送水管や配水管などで広く使用されている。
一方、測定には一定以上の導電率が必要であり、導電率の低い液体には適さない場合がある。安定した測定には、測定管内を満水に保つとともに、適切な接地・等電位化や、電極への気泡・付着物の影響に注意する必要がある。
2.2 差圧式流量計(ベンチュリー式)
差圧式流量計は、管路内に生じる圧力差から流量を求める方式である。代表的なものにベンチュリー式があり、管路の途中に設けた絞り部で流速を増加させ、静圧を低下させる構造となっている。
絞り部の上流側と最小断面部の圧力差を測定し、ベルヌーイの定理と連続の式に基づいて流量を算出する。流出係数や流体密度などの条件が一定であれば、流量は差圧の平方根に比例する。

ベンチュリー式は、オリフィス式に比べて圧力回復が良く、永久圧力損失を比較的小さくできる特徴がある。一方、測定には差圧変換器や圧力取出し配管が必要となる。
圧力取出し口の閉塞や導圧管内への空気の滞留などは、測定誤差の原因となる。また、低流量域では差圧が小さくなるため、差圧変換器の測定範囲や精度にも注意が必要である。
2.3 超音波流量計
超音波流量計は、超音波を利用して管路内の流速を測定する機器である。測定方式には伝搬時間差式やドップラー式などがあり、水道施設では伝搬時間差式が広く利用されている。
伝搬時間差式では、水の流れに沿って伝わる超音波と、流れに逆らって伝わる超音波の到達時間を比較する。流れに沿う方向では伝搬時間が短く、逆方向では長くなるため、その時間差から流速を求める。

超音波流量計には、測定管にセンサを組み込む方式と、配管の外側にセンサを取り付けるクランプオン式がある。クランプオン式は、管を切断せずに取り付けられるため、既設管路の流量調査や仮設測定にも利用される。
一方、測定精度は流速分布、配管材質、管内面の状態、気泡の混入、センサの取付状態などの影響を受ける。特に既設管への設置では、管の内径や肉厚を正しく設定し、適切な測定位置を確保することが重要である。
2.4 羽根車式・容積式流量計
羽根車式流量計は、水の流れによって回転する羽根車の回転数から流量を求める方式である。水道メーターなどに広く使用されており、接線流羽根車式や軸流羽根車式がある。
容積式流量計は、一定体積の液体を繰り返し計量し、その回数から流量を求める方式である。代表例の楕円歯車式は、かみ合う2個の歯車の回転によって液体を計量する。水に対応する製品もあるが、可動部を持つため、異物の混入や圧力損失などを考慮して選定する必要がある。
3.流量計の精度と測定範囲
流量計の精度は、基準となる流量に対して、測定値がどの程度の誤差範囲に収まるかを表す性能である。精度の表示には、RD(Reading)やFS(Full Scale)を基準とする方法があり、同じ百分率でも許容誤差の意味が異なる。
3.1 RDとFSの違い
RDは、指示値を基準として許容誤差を表す方式である。例えば精度が±5%RDの場合、指示値が100m³/hであれば許容誤差は±5m³/h、50m³/hであれば±2.5m³/hとなる。
FSは、測定範囲の最大値であるフルスケールを基準として許容誤差を表す方式である。例えばフルスケールが100m³/h、精度が±5%FSであれば、測定流量にかかわらず許容誤差は±5m³/hとなる。

両者の違いは、特に低流量域で大きくなる。例えば指示値が10m³/hの場合、±5%RDの許容誤差は±0.5m³/hであるのに対し、フルスケール100m³/hの±5%FSでは±5m³/hとなる。
そのため、流量計の精度を比較するときは、単に±何%という数値を見るだけでなく、RDとFSのどちらを基準にしているかを確認する必要がある。
ただし、実際の製品では、低流量域で別の誤差規定が適用される場合や、一定流量以下が精度保証範囲外となる場合がある。精度を評価する際には、メーカーが定める測定範囲と保証条件を確認することが重要である。
3.2 測定範囲と流量変動
流量計を選定する際には、最大流量だけでなく、通常流量と最小流量も確認する必要がある。最大流量に合わせて測定範囲を過大に設定すると、低流量時に必要な測定精度が得られない場合がある。
水道・工業用水道では、昼夜や曜日、受水事業所の操業状況などによって流量が大きく変動することがある。そのため、想定される運転範囲全体で、必要な精度を確保できる流量計を選定することが望ましい。
4.設計・施工上の留意点
流量計の測定精度を確保するためには、機器自体の性能だけでなく、設置位置や管路内の流れの状態が重要である。特に、曲管、分岐管、弁、ポンプなどの近くでは流速分布が乱れ、測定値に影響する場合がある。
4.1 直管部の確保
流量計の前後には、測定方式に応じた直管部を確保し、偏流や旋回流の影響を抑える必要がある。一般に、上流側では流速分布を整えるための直管長が重要となり、下流側にも一定の直管長が求められる場合がある。
必要な直管長は、流量計の種類や上流側の配管条件によって異なる。また、流量調整弁は開度によって下流側の流速分布を大きく乱す場合があるため、弁の種類や配置を考慮し、メーカーの仕様に従って設置位置を決定する。
4.2 満管状態の確保
満水状態を必要とする流量計では、測定管内を常に満水に保つことが重要である。管内に空気が滞留したり、非満水状態になったりすると、実際の流量と測定値に差が生じる場合がある。
管路の凸部などの高所では、空気が滞留しやすいため、流量計の設置位置に注意する。一方、周囲の配管条件から満管状態を確保しやすい位置では、空気混入による測定誤差のリスクを低減できる。

ただし、管路の低い位置に設置すれば必ず満管状態になるわけではない。管路全体の水理条件や運転時の圧力、流量変動などを考慮し、満管状態を維持できる位置を選定する必要がある。
4.3 測定方式に応じた施工
電磁流量計では、絶縁ライニングや電極の保護、適切な接地・等電位化などに注意する。特に電極への気泡の接触や付着物の影響を抑えるため、メーカーが指定する取付姿勢を守ることが重要である。
超音波流量計では、配管寸法やセンサの取付位置を正確に設定する必要がある。また、差圧式流量計では、圧力取出し口や導圧管の配置に注意し、空気の滞留や閉塞が生じにくい構造とする。
さらに、点検や交換を考慮して、流量計の周囲には必要な作業スペースを確保する。重要な送配水系統では、流量計の故障時にも運転を継続できるよう、バイパス管や予備計測手段の必要性を検討する。
5.運転・維持管理上の留意点
流量計は、設置後も適切な状態で測定できているかを継続的に確認する必要がある。日常点検では、指示値の変動、積算流量の推移、警報の発生状況、通信状態などを確認する。
5.1 測定値の異常と点検
測定値に異常が生じた場合は、流量計の故障だけでなく、実際の流量変動や管内の空気混入なども考慮する。特に、他の流量計や水位計、圧力計などの測定値と比較することで、異常の原因を絞り込める場合がある。
電磁流量計では電極への付着物や接地不良、超音波流量計ではセンサの取付状態や受信信号、差圧式流量計では導圧管の閉塞などが主な確認項目となる。
また、測定値に異常がある場合は、測定部や変換器だけでなく、出力信号や監視制御装置の表示値も確認する必要がある。特に4~20mA信号を使用する場合は、流量レンジの設定や信号変換の整合性に注意する。
瞬時流量の指示値が正常でも、積算流量に異常が生じる場合がある。積算パルスの設定や信号の欠落、監視制御装置の演算条件など、採用している信号伝送方式に応じた確認が必要である。
複数の流量計を設置している施設では、送水量と配水量、各系統の流量、配水池の水位変動などを組み合わせて水量収支を確認する。測定値の経時変化や他の計測値との比較は、計測異常を早期に把握するうえで有効である。
5.2 精度管理と校正
長期間使用する流量計では、経年変化や測定部の状態によって、測定性能が変化する可能性がある。そのため、使用目的や必要な精度に応じて、定期的な点検や精度確認を行うことが重要である。
精度管理では、測定部の性能確認と、変換器や信号伝送系統の確認を区別する必要がある。変換器への模擬入力や出力信号の確認だけでは、実際の流量測定精度を保証することはできない。
流量測定精度を確認する場合は、基準器との比較測定や校正設備による試験など、測定原理と設置条件に適した方法を選定する。また、ゼロ点の確認や設定値の照合、異常履歴の確認などを組み合わせ、計測設備全体の信頼性を確保する。
特に、受水事業所への供給量の計量など、測定値が料金算定や契約上の管理に関係する場合は、精度管理の重要性が高い。計量に関する法令の適用や契約条件、精度確認の方法を整理し、測定値の信頼性を確保する必要がある。
流量計は、水道施設の運転状況を把握し、水量管理の信頼性を確保するための重要な計測設備である。適切な方式の選定、正しい設置、継続的な精度管理を組み合わせることで、測定値を施設の運転管理に有効に活用できる。

