- 読み仮名
- ろうすいちょうさ
- 英語表記
- Water leak detection
概要
漏水調査とは、水道管や継手などから漏れた水の有無を調べ、漏水が疑われる区域や管路を絞り込み、漏水箇所を確認するための調査である。上水道や工業用水道では、水の損失を減らすとともに、安定した給水と管路の安全性を確保するために行う。
漏水には、路面に水が現れるものだけでなく、地下に漏れたまま発見されにくいものもある。このため、流量や水圧の変化から異常を把握する方法と、音などを利用して場所を探す方法を組み合わせて調査する。
1.漏水の原因と影響
漏水は、管体の損傷や継手の水密性の低下などによって発生する。主な原因には、材料の劣化、施工状態、外力、水圧の変動などがあり、複数の要因が重なる場合もある。
| 主な要因 | 漏水につながる仕組み |
|---|---|
| 腐食・材料の劣化 | 管体の腐食による穴あきや、止水部材の劣化など |
| 継手・施工の不具合 | 接合不良や継手の抜け出しなど |
| 地盤変位・外力 | 地震や地盤沈下、他工事による管体の損傷など |
| 水圧・圧力変動 | 過大な水圧や水撃作用による管体・継手への負担など |
漏水が発生すると、水だけでなく、取水・浄水・送配水に要した薬品やエネルギーも無駄になる。また、漏水量が多い場合は水圧の低下や断水につながり、工業用水道では工場の操業に影響するおそれがある。
地下で漏水が続くと、周囲の土砂が流出して地盤の空洞化や道路陥没につながることもある。漏水の原因と影響は管路の状態や周辺環境によって異なるため、発見後は損傷状況まで確認することが重要である。
2.漏水調査の基本的な流れ
漏水調査は、一般に「異常の把握」「区域・区間の絞り込み」「漏水位置の推定・確認」の順に進める。流量・水圧の記録や過去の漏水履歴などから調査する区域を選び、音聴調査などによって場所を絞っていく。

例えば、制水弁で漏水音が確認されても、その制水弁から漏れているとは限らない。音は管路を伝わるため、周辺の弁栓や路面でも調査を行い、結果を比較して位置を推定する。
なお、道路への大量の漏水や陥没のおそれがある場合は、通常の調査手順よりも安全確保と応急対応を優先する。
3.主な漏水調査の方法
3.1 流量・水圧による調査
配水量の増加、水圧の低下、配水池水位の異常な変化などは、漏水を疑う手掛かりとなる。ただし、使用水量の増加やポンプ・弁の操作でも同じような変化が生じるため、通常時の運転状況と比較して判断する。
管網を配水ブロックに分けて流入・流出水量を把握すると、漏水が疑われる区域を絞り込みやすくなる。区域内の水使用や貯留量の変化、計器の誤差なども考慮し、単純な流量差だけで漏水量を決めないことが重要である。
夜間最小流量は、水使用が少ない時間帯の流量から漏水の兆候を把握する方法である。ただし、夜間にも使用される水量があるため、測定流量のすべてを漏水量とみなすことはできない。特に工業用水道では夜間も操業する工場があるため、需要の変動を把握した上で評価する。
なお、漏水率は配水量に対する漏水量の割合、有収率は配水量に対する有収水量の割合を表す。料金収入に結び付かない水量には漏水以外の水量も含まれるため、「100%-有収率」がそのまま漏水率になるわけではない。
3.2 音聴調査
水道管の損傷部から水が漏れると、その付近に音や振動が生じ、管体や管内の水、地盤を通じて周囲に伝わる。音聴調査は、この漏水音を手掛かりに漏水している管路や位置を探す方法である。
弁栓音聴は、制水弁や消火栓などに音聴棒やセンサーを当て、管路を伝わる音を調べる方法である。一方、路面音聴は、路面に置いたセンサーで地盤を伝わる音を捉え、測定位置を変えながら漏水箇所を絞り込む。

漏水音の伝わり方は、管材、口径、水圧、埋設深さ、地盤の状態などによって変わる。また、交通やポンプの騒音にも影響されるため、音が大きい場所を必ずしも漏水箇所と判断できるわけではない。
3.3 相関式漏水探知
相関式漏水探知は、漏水が疑われる区間を挟む2か所にセンサーを設置し、漏水音がそれぞれのセンサーに届く時間差から位置を推定する方法である。漏水点に近いセンサーには音が早く届き、遠いセンサーには遅れて届く。

漏水位置の計算には、2つのセンサー間の管路に沿った長さと、管路を伝わる音の速度を用いる。管種や口径などの設定が適切でない場合や、途中に分岐・異なる管材がある場合には、推定位置に誤差が生じることがある。
3.4 その他の調査方法
音聴調査のほかにも、管路や現場の条件に応じて次の方法を用いることがある。
| 方法 | 主な役割と適用上の注意 |
|---|---|
| 漏水監視ロガー | 弁栓などで音や振動を継続的に記録し、異常が疑われる管路を見つける。機種によっては複数地点の相関解析も行える。 |
| トレーサーガス法 | 管内に導入した調査用ガスを地表などで検知し、漏水位置を探す。適用に当たっては断水や水質への影響などを確認する。 |
| 地中レーダー | 埋設物や地中の空洞などを調べ、漏水に伴う周辺状況の確認を補助する。 |
| 衛星データ等の解析 | 漏水が疑われる区域を抽出し、現地調査を行う範囲や優先順位の検討に利用する。 |
これらの方法は、得られる情報や適用できる条件が異なる。区域の絞り込みに使う方法と、漏水位置を確かめる方法を区別して選定することが重要である。
4.調査時の注意点と補修後の確認
4.1 管路条件に合った調査方法を選ぶ
金属管と樹脂管では漏水音の伝わり方が異なり、低水圧や大口径管、埋設位置が深い場合なども調査が難しくなることがある。音が確認できない場合でも漏水がないとは限らないため、測定方法や設置位置を見直し、必要に応じて別の方法を組み合わせる。
地表に水が現れていても、地下水や雨水である可能性がある。上水道では残留塩素などを参考にできるが、不検出だけで漏水を否定することはできない。また、塩素消毒を行わない工業用水道では、供給水の水質や処理方法に応じて確認する。
4.2 補修と維持管理につなげる
漏水箇所を推定した後は、管路図や現地の状況を確認し、必要に応じて追加調査や試掘を行う。弁操作や掘削を伴う場合には、断水、圧力変動、濁水、他の埋設物への影響にも注意する。
補修後は、漏水の停止を確認するとともに、流量・水圧・漏水音などを再確認する。補修前後の流量を比較する際は、水の使用状況や運転条件が異なっていないかも確認する。
漏水位置、管種、損傷状況、補修内容などを記録しておけば、次回の調査や管路更新の判断に役立つ。漏水調査は、漏れている場所を探すだけでなく、同じような事故を減らすための維持管理にもつながる。
関連用語
参考資料
- 日本水道協会『水道維持管理指針2006・抜粋版』(国土交通省公開)
- 広島市『漏水調査マニュアル・第二章「漏水調査作業」』
- 豊中市上下水道局『漏水調査』
- 国土交通省『人工衛星とAIを活用した漏水調査の効率化』
- 愛知県『工業用水ができるまで』
- フジテコム『管路音圧監視』『ハイドロフォン』

