道路法(道路占用)

読み仮名
どうろほう(どうろせんよう)
英語表記
Road Act (Road Occupancy)
目次

概要

道路法は、道路の路線、管理、構造、保全、費用負担などを定め、道路網の整備と交通の発達を図る法律である。水道管路を道路に布設する場合には、道路の地下を継続して使用する「道路占用」として、原則として道路管理者の許可を受ける必要がある。

道路占用では、管路を設置する位置や深さだけでなく、工事中の交通、安全対策、道路復旧、占用後の維持管理も重要となる。本記事では、2026年10月時点の法令に基づき、水道・工業用水道の管路に関係する基本事項を解説する。

1.道路法と道路占用

道路占用とは、道路に工作物、物件または施設を設け、継続して道路を使用することである。道路上への設置に限らず、地下への管路の埋設や、道路の上空の使用も含まれる。

水道管は、道路法第32条第1項第2号の「水管」に該当する。布設工事が終わって道路を交通に開放した後も、管路が道路の地下を使用している間は占用が続く。

道路占用の申請先は、その道路を管理する道路管理者である。国道でも指定区間などによって管理者が異なるため、路線名だけで判断せず、対象区間の管理者と担当窓口を確認する。

2.道路占用に関する主な規定

道路占用の基本となる規定は、第32条の許可と第33条の許可基準である。これに加え、国の事業や水道事業等には、それぞれ条件の異なる特例が設けられている。

条文主な内容
第32条道路占用の許可、申請事項、占用内容の変更などを定める。
第33条道路占用の許可基準を定める。
第35条国の行う事業について、道路管理者との協議・同意による特例を定める。
第36条水道事業等の工事計画書の事前提出と、基準に適合する占用への許可の特例を定める。

第33条第1項では、道路の敷地外に余地がないためやむを得ないことや、占用期間、場所、構造、工事方法、復旧方法などが政令の基準に適合することを基本としている。水道管路については、第36条の特例と合わせて適用関係を確認する。

第35条は、国の行う事業のための占用について、国が道路管理者と協議し、同意を得る仕組みである。地方公共団体の水道事業であることだけを理由に、第35条の協議対象になるわけではない。

第36条の水管には、水道事業、水道用水供給事業、工業用水道事業の用に供するものが含まれる。対象となる占用の許可を受けようとする者は、原則として工事実施日の1か月前までに工事計画書を道路管理者へ提出する必要がある。

また、対象工事の占用許可申請が政令の基準に適合するときは、道路管理者は許可を与えなければならない。この取扱いは「義務占用」と呼ばれるが、水道事業者が無条件に占用できるという意味ではなく、申請と基準への適合が必要である。

災害復旧その他の緊急工事や、政令で定める軽易な工事には、工事計画書の事前提出に関する例外がある。これは占用許可そのものを一律に不要とする規定ではない。

3.道路占用許可と道路使用許可

道路占用許可と道路使用許可は、根拠法令と目的が異なる制度である。水道管を道路に設置するための手続と、道路上で工事を行うための手続を区別して整理する。

制度根拠・許可権者・主な対象
道路占用許可道路法に基づく道路管理者の許可。水道管などを設置し、継続して道路を使用することを対象とする。
道路使用許可道路交通法に基づく所轄警察署長の許可。道路での工事・作業など、許可を要する行為を対象とする。

道路を掘削して水道管を布設する工事では、両方の手続が必要となる場合がある。一方、占用期間の更新など、道路上の工事・作業を伴わない手続まで、常に両方の許可が必要になるわけではない。

関係機関を経由して申請書を提出できる仕組みもあるが、制度が一つになるわけではない。対象となる行為、申請者、必要書類、許可条件をそれぞれ確認する。

道路管理者が許可する水道管の継続的な設置と、所轄警察署長が許可する道路上の工事・作業を比較した図

4.水道管路の占用位置と埋設条件

4.1 占用位置と土被り

道路内の占用位置は、道路法施行令第11条の3の基準を踏まえて検討する。地下の水管は歩道部分への設置を基本とする規定がある一方、道路横断や、一定の条件を満たす本線の歩道以外への設置などには例外がある。

実際の配置では、道路管理者の占用基準、既設埋設物、給水管の分岐、将来の道路改良、維持管理の作業性などを確認する。歩道がある場合でも、水道管を任意の場所に配置できるわけではない。

土被りとは、管の頂部から地表面までの鉛直距離であり、道路では路面から管頂までの深さをいう。管の中心や底部までの深さと混同しないことが重要である。

必要な土被りは、施行令の規定に加え、浅層埋設に関する国の通知の適用条件と道路管理者の取扱いを確認して決める。管種・管径、舗装構成、交通荷重、歩道の乗入れ部、防護方法などによって条件が異なるため、すべての管路に同じ数値を適用しない。

水道施設としては、地盤条件、地下水による浮上、凍結、管内水温への影響などにも配慮する。道路占用の条件を満たすことと、管路自体の安全性・機能を確保することの両方が必要である。

4.2 他埋設物・道路構造物との関係

他の埋設物との離隔は、管の外面など、構造物の外側どうしの距離で確認する。近接しすぎると、施工や修繕が難しくなるだけでなく、漏水による土砂流出や他企業管の損傷につながるおそれがある。

配水管の設計では、他の地下埋設物と交差・近接する際に0.3m以上の間隔を確保することが基本的な目安となる。ただし、これは技術指針に示された設計上の考え方であり、すべての埋設物について全国一律に定められた法令上の離隔ではない。

道路管理者や各埋設物管理者の基準により、さらに大きな離隔や防護措置を求められる場合がある。必要な離隔が取れない場合は、ルート変更や防護方法を協議し、数値だけで安全性を判断しない。

側溝、擁壁、橋台などの道路構造物についても、構造や維持管理に支障を与えない位置を選定する。道路横断では施工方法と交通への影響を、道路橋への添架では橋の強度、支持方法、伸縮への追従、点検のしやすさなどを確認する。

歩道と車道の地下に水道管や下水道管などを配置し、路面から管頂までの土被りと、管外面どうしの離隔を示す模式断面図

5.道路占用の申請・協議と施工

5.1 調査から許可・協議まで

計画段階で道路管理者を確認し、道路台帳や埋設物図面、現地調査などから道路・地下埋設物の状況を把握する。図面だけでは位置や深さを確定できない場合があるため、必要に応じて試掘などを行う。

その結果に基づき、管路の位置、土被り、離隔、施工方法、道路復旧方法を検討し、道路管理者や関係する埋設物管理者と事前協議を行う。第36条の工事計画書の提出が必要な場合は、その時期も工程に組み込む。

代表的な資料確認する内容
位置図・平面図路線、施工位置、占用範囲、既設埋設物との関係
縦断図・横断図管路の高さ、土被り、離隔、道路構造物との位置関係
構造図・施工計画管種、管径、防護、掘削・土留め・埋戻しなどの方法
道路復旧図・交通規制計画復旧範囲、舗装構成、車両・歩行者の通行方法

必要な申請・協議と道路使用許可等の関連手続を行い、条件を確認したうえで着工する。手続の順序や提出書類は、道路管理者、警察、工事内容などによって異なるため、図3は計画工事の一般的な流れとして捉える。

調査・設計・事前協議から道路占用と道路使用等の手続を行い、施工、道路復旧、完了手続へ進む計画工事の流れ

5.2 掘削・埋戻し・道路復旧

掘削では、道路交通への影響を抑えるとともに、土留めや排水によって掘削部と周辺地盤の安定を確保する。既設埋設物の付近では、試掘などで位置を確認し、管理者との協議に基づく防護や立会いなどを行う。

埋戻しは、適切な材料を用いて層ごとに締め固める。管周囲の空隙や締固め不足を残すと、管路の不同沈下や路面沈下につながるため、管の支持状態と道路としての支持力を合わせて確保する。

舗装復旧は、掘削した溝を舗装でふさぐだけでは不十分である。法令に定める復旧範囲と道路管理者の基準に従い、掘削の影響範囲、既設舗装との接続、路盤・舗装の構成を確認する。

仮復旧と本復旧の要否、時期、材料、締固めの管理方法などは、道路条件と道路管理者の基準による。仮復旧後も路面の沈下や段差を点検し、通行の安全を保ちながら本復旧と完了手続を行う。

6.占用後の維持管理と緊急工事

6.1 占用期間・変更・維持管理

道路占用者には、占用物件を適切に維持管理する義務がある。漏水や腐食などを把握して修繕するとともに、管路の位置、構造、修繕履歴、許可条件を記録し、道路の構造や交通に支障を生じさせないよう管理する。

占用期間には期限があり、継続して占用する場合は更新手続が必要である。管路の位置や構造などを変更するときは変更許可等の要否を確認し、道路改良に伴う移設では、施工時期、供給への影響、費用負担などを調整する。

水管については、占用期間の更新時に安全性を確認した旨の報告が必要となり、許可期間が5年を超える場合には、許可の日から5年を経過した時点でも報告する。道路管理者が定める維持管理状況の報告と合わせ、期限と必要事項を管理する。

占用を廃止する場合は、原則として物件を撤去して原状回復する。撤去が不適当な事情がある場合も、占用者だけで残置を決めず、道路管理者の指示や必要な手続を確認する。

6.2 漏水事故に伴う緊急工事

漏水事故では、道路陥没、浸水、断水などの被害が拡大するおそれがある。まず現場の状況を把握し、道路利用者の安全を確保するとともに、止水や危険箇所への立入防止など、必要な初動措置を講じる。

道路管理者、所轄警察署、消防署などの関係機関には、地域の連絡体制に従って速やかに連絡する。電話やメールなどで共有する主な事項は次のとおりである。

連絡事項主な内容
施工位置住所、路線名、施工箇所、位置が分かる図面など
施工内容漏水状況、道路掘削、管路修繕、道路復旧など
交通規制内容通行止め、片側交互通行、車線規制、迂回経路など
施工時間着手時刻、規制時間、復旧見込み、見込みの変更
緊急連絡先施工担当者、現場責任者、連絡可能な電話番号など

消防署への連絡では、工事の実施を知らせるだけでなく、消防車・救急車などの緊急車両の通行に支障を生じさせないことが重要である。通行止めや車線規制の内容を共有し、必要に応じて通行経路や規制方法を調整する。

消防署への届出の対象や方法は、地域の火災予防条例や運用によって異なる。全国一律の連絡方法があると考えず、平常時から届出先と緊急時の連絡体制を確認しておく。

電話やメールによる初動連絡だけで、道路占用・道路使用の正式な手続が完了するわけではない。必要な許可・協議・届出と書類の提出時期・方法を関係機関に確認し、適用される法令と協議内容に基づいて作成・提出する。

第36条の緊急工事の例外を、すべての許可や書類が不要になる根拠として扱ってはならない。事後提出の可否も一律に判断せず、連絡時刻、相手方、指示・協議内容を記録し、工事後の手続まで確実に行う。

7.実務上の留意点

道路占用では、全国共通の法令、国の通知による技術的な取扱い、道路管理者ごとの占用・復旧基準を区別することが重要である。他の現場で認められた土被りや復旧方法を、そのまま別の道路へ適用できるとは限らない。

許可を取得することに加え、その条件を設計図書と施工計画へ反映し、現場で実現する必要がある。完成時には出来形や写真、協議記録を整理し、占用期間の更新、点検、修繕、将来の移設まで引き継ぐ。

関連用語

参考資料

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この記事を書いた人

ふるさん
みずみちノートの執筆者・案内役

水道施設に古くから関わっている「古株」のフクロウ。上水道・工業用水道の技術を、基礎から現場での実務までわかりやすく案内します。

技術監修: 技術士(上下水道部門)

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