ポンプ

読み仮名
ぽんぷ
英語表記
Pump
目次

概要

ポンプとは、外部から与えられたエネルギーを水に伝え、水を移送したり、圧力を高めたりする機械である。水道施設では、取水、導水、送水、配水などの各段階で使用され、自然流下だけでは必要な流量や圧力を確保できない場合に重要な役割を果たす。

ポンプにはさまざまな種類があるが、水道施設では羽根車の回転によって水にエネルギーを与える形式が広く使用されている。ポンプを適切に選定・運転するためには、その構造だけでなく、揚程や流量、管路との関係を理解する必要がある。

1.遠心ポンプの構造と仕組み

1.1 遠心ポンプの原理

遠心ポンプは、羽根車を回転させることで水にエネルギーを与えるポンプである。水は羽根車の中心付近から流入し、回転する羽根の間を通って外周へ移動する。

羽根車から出た水は、周囲のケーシングに集められ、吐出口へ導かれる。この過程で水の運動エネルギーの一部が圧力エネルギーに変換され、配管へ水が送り出される。

吸込口から羽根車入口、羽根間流路、ケーシングを経て吐出口へ至る水の流れと、主軸・羽根車の構成を示す遠心ポンプの模式図

1.2 主な構成部品

遠心ポンプの主要な構成部品には、羽根車、ケーシング、主軸、軸封部などがある。

部品主な役割
羽根車回転によって水にエネルギーを与える
ケーシング羽根車から出た水を集め、吐出口へ導く
主軸電動機からの回転力を羽根車に伝える
軸封部主軸がケーシングを貫通する部分からの漏水を適切に抑える

このほか、主軸を支持する軸受なども重要な部品である。これらの部品が正常に機能することで、ポンプは安定して運転できる。

2.ポンプの主な種類

水道施設で使用されるポンプは、羽根車を通る水の流れ方によって、主に遠心ポンプ、斜流ポンプ、軸流ポンプに分類される。

種類特徴
遠心ポンプ水を羽根車の外周方向へ送り出す。比較的高い揚程を必要とする用途にも適する
斜流ポンプ水を軸に対して斜め方向へ送り出す。流量と揚程のバランスを取りやすい
軸流ポンプ水を主軸とほぼ平行な方向へ送り出す。大流量・低揚程の用途に適する

遠心ポンプの代表的な形式には、うず巻ポンプがある。また、高い揚程が必要な場合には、複数の羽根車を組み合わせた多段ポンプが使用されることもある。

ポンプには横軸形、立軸形、水中ポンプなどの設置形式もあり、必要な流量・揚程、設置場所、維持管理の条件などを考慮して選定する。

3.ポンプ設備の基本構成

水道施設のポンプ設備は、ポンプ本体だけでなく、電動機、配管、弁類、計測機器などを組み合わせて構成される。

一般的な横軸ポンプ設備では、吸込側に制水弁を設け、吐出側に圧力計、逆止弁、制水弁などを配置する。これらはポンプの運転状態を把握するとともに、逆流防止や設備の点検・補修などに使用する。

横軸遠心ポンプと電動機、吸込側・吐出側の配管、制水弁、逆止弁、圧力計などの基本的な設備配置を示す構成図

主な構成機器と役割は次のとおりである。

機器主な役割
遠心ポンプ水にエネルギーを与えて送水する
電動機ポンプを回転させる動力を供給する
軸継手電動機とポンプの主軸を連結する
吸込側制水弁点検・補修時などに吸込側の水を遮断する
圧力計ポンプの吐出圧力を確認する
逆止弁ポンプ停止時などの逆流を防止する
吐出側制水弁吐出側の水を遮断し、ポンプや配管の点検・補修時などに使用する
共通ベース・基礎ポンプと電動機を支持し、安定した運転を確保する

ポンプと電動機の間には、回転部分への接触を防ぐための軸継手カバーも設ける。

ただし、これらは一般的な構成例であり、すべてのポンプ設備に同じ機器が必要となるわけではない。設備の規模や形式、運転条件に応じて、必要な機器や配置を検討する。

4.ポンプの揚程

4.1 揚程とは

揚程とは、ポンプが水に与える単位重量当たりのエネルギーを、水柱の高さに換算して表したものである。単位にはメートル(m)を用いる。

例えば、定格揚程50mのポンプは、定格流量において水柱50mに相当するエネルギーを水に与える。これは、単純に50mの高低差がある場所へ水を送れることを意味するものではない。

実際に送水する際には、水面の高低差だけでなく、配管内を水が流れることで生じるエネルギーの損失も考慮する必要がある。

4.2 実揚程と損失水頭

吸込側と送水先の水槽がともに大気開放されている場合、ポンプに必要な全揚程は、実揚程と損失水頭の合計で表される。

全揚程 = 実揚程 + 損失水頭

  • 実揚程: 吸込水槽と送水先水槽の水面の高低差
  • 損失水頭: 配管の摩擦や弁、曲がり、継手などによって生じるエネルギーの損失
吸込水槽と送水先水槽の水面の高低差である実揚程と、管路の損失水頭を加えた全揚程の関係を示す模式図

図3では、吸込水槽から高い位置にある送水先水槽へ送水する場合を示している。ポンプは水面の高低差に相当するエネルギーに加え、吸込管や吐出管などで失われるエネルギーも補う必要がある。

損失水頭は、配管の延長や口径、流量、弁の開度などによって変化する。一般に流量が増えるほど損失水頭も大きくなるため、必要な揚程は一定ではない。

4.3 送水条件による違い

図3は、両方の水槽が大気開放されている場合の基本的な考え方である。

一方、送水先で一定の圧力を確保する必要がある場合には、その圧力に相当する水頭も考慮しなければならない。ポンプの必要揚程は、送水先の高さだけでなく、吸込側と吐出側の圧力条件や流速の違い、管路の損失などを考慮して決定する。

なお、吐出側の圧力計が示す圧力だけで、ポンプの全揚程が分かるわけではない。全揚程は、ポンプの吸込側と吐出側における全水頭の差として考える必要がある。

5.ポンプの性能曲線と運転点

5.1 ポンプ性能曲線

ポンプ性能曲線のうち、流量と揚程の関係を表すものを流量-揚程曲線(Q-H曲線)という。

一般的な遠心ポンプでは、回転速度が一定の場合、流量が増加すると揚程が低下する傾向がある。つまり、同じポンプでも、運転時の流量によって発生する揚程は変化する。

ポンプの仕様には定格流量や定格揚程が示されるが、実際の運転状態が常にその値になるわけではない。

5.2 管路抵抗曲線

一方、送水する管路にも、流量と必要揚程の関係がある。これを管路抵抗曲線という。

図3のように高低差のある2つの大気開放水槽間で送水する場合、流量がゼロのときの必要揚程は実揚程に相当する。そこから流量が増えるにつれて損失水頭が増加するため、管路抵抗曲線は右上がりとなる。

5.3 運転点の決まり方

縦軸を揚程H、横軸を流量Qとし、ポンプ性能曲線と管路抵抗曲線の交点によって運転点が決まることを示すグラフ

ポンプの運転点は、ポンプ性能曲線と管路抵抗曲線が交わる点である。この交点では、ポンプが発生する揚程と、管路が必要とする揚程が一致する。

したがって、実際の流量と揚程は、ポンプの性能だけでなく、接続する管路の条件によっても決まる。

例えば、吐出側に設けた流量調整に適した弁を絞ると、管路の抵抗が増加し、一般に運転点は流量の少ない側へ移動する。また、送水先の水位が変わった場合にも、必要揚程が変化して運転点が移動する。

このように、ポンプの流量は、ポンプ単体の性能だけで決まるものではないことを理解しておく必要がある。

6.ポンプの選定と省エネルギー

6.1 ポンプの選定

ポンプを選定する際には、必要な流量と全揚程を基本条件とする。水道施設では、吸込水槽や送水先水槽の水位変動、送水量の変化などを考慮し、想定される運転条件の範囲で適切な性能を確保できる機種を選定する。

また、吸込側では水の圧力が低下しすぎないよう注意が必要である。吸込条件が適切でない場合、キャビテーションが発生し、性能の低下や機器の損傷を招くおそれがある。

吸込条件の確認には、キャビテーションの発生しやすさを判断する指標であるNPSH(正味吸込ヘッド)を用いる。設備側で確保できる有効NPSHが、ポンプに必要なNPSHを十分な余裕をもって上回るように計画する。

6.2 ポンプの設置台数と予備機

ポンプ設備の設計では、必要な流量や全揚程を満たすポンプを選定するだけでなく、設置台数と予備機を含めて計画する。故障や点検、補修によって一部のポンプが停止した場合でも、必要な供給機能を維持できるようにすることが重要である。

ポンプの設置台数は、原則として予備機を除く常用機で計画最大水量を満足するように決定する。また、夜間などの水量が少ない時間帯にも適切に運転できるよう、計画最大水量だけでなく、平均水量や最小水量も考慮する必要がある。

例えば、同じ容量のポンプを常用2台・予備1台で構成する場合、常用2台によって計画最大水量を確保し、1台が故障や点検で停止した場合には予備機でその能力を補う。異なる容量のポンプを組み合わせる場合には、最大容量のポンプが停止した場合も考慮して予備能力を検討する。

予備機の必要性や台数は、施設の重要度、運用条件、求められる供給信頼性などによって異なる。上流側や他の配水系統から速やかに代替供給でき、給水に支障がない場合には、専用の予備機を設けないこともある。

また、ポンプの台数や容量を決定する際には、将来の需要変動、運転効率、維持管理性なども考慮する必要がある。予備機の確保だけでなく、通常運転から故障時までを含めた設備全体の信頼性と経済性を総合的に評価することが重要である。

6.3ポンプ効率

ポンプは、電動機から受け取ったエネルギーのすべてを水に伝えられるわけではない。内部の水の流れや軸受などで損失が生じるためである。

ポンプ効率は、主軸から供給された動力に対して、水に与えられた有効な動力が占める割合を示す。効率が高いほど、同じ流量と揚程を得るために必要な軸動力は小さくなる。

ポンプの効率は流量によって変化し、最も高い効率となる点を最高効率点(BEP)という。実際の運転点が最高効率点と一致するとは限らないため、想定される運転範囲で効率がよい機種を選定することが重要である。

また、過大な揚程のポンプを選定すると、必要以上の圧力を発生させ、弁による絞りなどでエネルギーを損失する場合がある。このため、高効率な機種を選ぶだけでなく、必要な流量と揚程に適したポンプを選定することが省エネルギーにつながる。

実際の消費電力には、ポンプ本体の効率だけでなく、電動機の効率も関係する。このため、省エネルギーを検討する際には、ポンプ単体だけでなく、設備全体の効率を考えることも重要である。

7.ポンプの運転と維持管理

7.1 運転時の確認事項

ポンプを安全に運転するためには、吸込側の水位や圧力、弁の開閉状態などを確認する必要がある。特に、ポンプ内部に水がない状態で運転する空運転は、軸封部などの損傷につながるため注意が必要である。

ポンプは、適切な流量範囲で運転する必要がある。吐出側の弁を閉じたままの締切運転や、極端に少ない流量での連続運転は、内部の水温上昇や機器の損傷につながることがあるため、ポンプごとに定められた運転範囲を守ることが重要である。

また、起動時や停止時には、管路内の流量や圧力が変化する。急激な流量変化は水撃作用(ウォーターハンマー)を引き起こすことがあるため、設備に適した起動・停止方法を採用する。

具体的な起動・停止手順や弁の操作順序は、ポンプの形式や設備構成によって異なるため、メーカーの取扱説明書や施設の運転手順に従う必要がある。

7.2 キャビテーション

キャビテーションとは、水の局所的な圧力がその温度の飽和蒸気圧以下となり、水蒸気の気泡が発生し、その後、圧力の回復によって気泡が急激につぶれる現象である。飽和蒸気圧は、水がその温度で沸騰する圧力を示す。

ポンプでは主に羽根車入口付近などで発生し、異音や振動、揚程の低下を引き起こすことがある。発生した状態で運転を続けると、羽根車などの表面が損傷する場合もある。

キャビテーションを防止するためには、吸込水位や吸込配管の損失などを考慮し、適切な吸込条件を確保することが重要である。

7.3 点検と維持管理

ポンプの維持管理では、流量、吸込圧力、吐出圧力、電動機電流、振動、温度などを確認する。これらの値を継続的に記録することで、通常時との違いや性能の変化を把握しやすくなる。

ポンプの性能を評価する際には、流量と揚程の関係を確認し、性能曲線や過去の運転実績と比較することが有効である。比較する際には、水槽水位や管路条件などの違いも考慮する必要がある。

また、軸受の状態、軸封部からの漏水、軸継手の状態、取付ボルトの緩みなども点検対象となる。異常な騒音や振動、流量・圧力の低下が見られる場合には、原因を確認して適切に対応する必要がある。

軸封部については、方式に応じて適正な漏水状態を確認する。グランドパッキン方式では、漏水を完全に止めるのではなく、冷却や潤滑に必要な適切な漏水量を維持する必要がある。

ポンプは長期間使用することで、羽根車の摩耗や内部の腐食などによって性能が低下することがある。日常点検と定期的な整備を組み合わせ、安定した送水機能を維持することが重要である。


関連用語

参考資料

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この記事を書いた人

ふるさん
みずみちノートの執筆者・案内役

水道施設に古くから関わっている「古株」のフクロウ。上水道・工業用水道の技術を、基礎から現場での実務までわかりやすく案内します。

技術監修: 技術士(上下水道部門)

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