時間変動係数

読み仮名
じかんへんどうけいすう
英語表記
Hourly Peak Factor
目次

概要

時間変動係数とは、1日の平均時間水量に対して、最も水使用量が多い1時間の水量が何倍になるかを表す係数である。水道施設の設計では「時間係数」とも呼ばれ、K値で表される。

水道の使用量は、生活活動や事業活動によって時間ごとに変化する。時間変動係数は、このような水需要の変動を定量的に表す指標であり、計画時間最大給水量の算定や配水施設の能力を検討する際に用いられる。

1.時間変動係数とは

水道の使用量は1日を通じて一定ではなく、時間帯によって変化する。一般に、住宅地域では深夜に少なく、起床後や夕方以降に増加する傾向がある。

1日の時間帯別水使用量の変化を示し、平均時間水量と最大時間水量を比較したグラフ

時間変動係数は、平均時間水量に対する時間最大水量の比率である。例えば、時間変動係数が1.5であれば、最大となる1時間の水量は、その日の平均時間水量の1.5倍となる。

時間変動係数が大きいほど、平均水量に対する最大時間水量の割合が大きく、水需要の集中度が高いことを示す。

2.時間変動係数の計算式

時間変動係数は、時間最大水量を平均時間水量で除して求める。

時間変動係数 K = 時間最大水量 ÷ 平均時間水量

平均時間水量は、対象とする1日の総水量を24時間で除した値である。したがって、次の式でも表すことができる。

K = 時間最大水量 × 24 ÷ 1日の総水量

時間最大水量と平均時間水量は、いずれもm³/hなどの同じ単位で比較する。時間変動係数は水量の比率であるため、単位を持たない。

最大時間水量を平均時間水量で除して時間変動係数Kを求める計算の関係を示す図

時間最大水量は、通常、1時間ごとに区切った積算水量から求める。瞬間的に記録された最大流量とは異なるため、計算に用いるデータの集計時間に注意する必要がある。

3.時間変動係数の計算例

ある配水区域において、1日の総配水量が10,000m³、時間最大配水量が800m³/hであったとする。

まず、平均時間配水量を求める。

10,000 ÷ 24 = 約416.7m³/h

次に、時間変動係数を求める。

800 ÷ 416.7 = 約1.92

したがって、この日の時間変動係数は約1.92となる。

日の総配水量と最大時間配水量から平均時間配水量と時間変動係数を算出する計算例

ただし、この値は対象日の実績から求めたものであり、そのまま施設計画に採用する係数とは限らない。計画に用いる時間係数は、計画一日最大給水量時の時間最大需要を想定し、実績や給水区域の特性に基づいて設定する必要がある。

4.時間変動係数と水道施設の関係

4.1 配水管・配水ポンプとの関係

配水施設は、水使用量が集中する時間帯にも必要な水量と水圧を確保できるように計画する必要がある。配水管の口径や配水ポンプの能力を検討する際には、計画時間最大配水量が重要な条件となる。

水需要が増加すると、管路内の流量が大きくなり、摩擦損失も増加する。そのため、時間最大需要時の管内流速や損失水頭を考慮し、必要な水圧を確保できるか確認する必要がある。

4.2 配水池との関係

浄水場からの送水量と、配水池から給水区域へ送り出す配水量は、必ずしも同じ時間変動を示すわけではない。

配水池では、需要が少ない時間帯に水を蓄え、需要が多い時間帯に貯留した水を利用することで、送水量と配水量の時間的な差を調整する。

配水量の時間変動と送水量の違いを配水池で調整し、貯留量が増減する仕組みを示す図

ただし、配水池の必要容量は時間変動係数だけでは求められない。送水量と配水量の時間変化による貯留量の増減、運転方法、非常時の対応などを考慮して検討する必要がある。

5.計画時間最大給水量への適用

水道施設の計画では、計画一日最大給水量を基礎として、時間最大需要を算定する。

計画時間最大給水量は、計画一日最大給水量を24時間で除した値に、計画に採用する時間係数を乗じて求める。

計画時間最大給水量 = 計画一日最大給水量 ÷ 24 × K

例えば、計画一日最大給水量を10,000m³/日、時間係数を1.5とすると、計画時間最大給水量は次のようになる。

10,000 ÷ 24 × 1.5 = 625m³/h

配水区域の規模や用途によって時間最大需要と平均需要の関係が異なることを示す図

このように、計画一日最大給水量が同じであっても、時間係数の設定によって計画時間最大給水量は変化する。

配水管の設計では、各配水区域が受け持つ計画時間最大配水量を基礎として水理計算を行う。また、必要に応じて火災時の消火用水量なども考慮し、管径や必要水圧を検討する。

6.時間変動係数に影響する要因と設定上の注意点

6.1 給水区域の特性

時間変動係数は、給水区域の土地利用や水の使用形態によって異なる。

住宅地域では朝夕に需要が集中しやすく、商業地域では営業時間帯、工業地域では工場の操業時間や生産工程などが水使用量に影響する。

計画一日最大給水量と時間変動係数から計画時間最大給水量を算定する流れを示す図

また、給水規模も時間変動に影響する。小規模な区域では特定の需要家による水使用の影響が大きくなりやすい一方、多数の需要家を含む区域では使用時間が分散し、需要が平準化される傾向がある。

水需要は季節、気温、曜日、天候などによっても変化するため、時間係数の設定では給水区域の特性を総合的に把握する必要がある。

6.2 時間係数の設定上の注意点

時間係数は、既往の実績や類似する給水区域の状況を参考に設定する。特定の1日の実績だけで判断せず、需要の季節変動や将来の給水人口、土地利用の変化などを考慮することが重要である。

時間係数を過小に設定すると、計画時間最大給水量が小さくなり、必要な配水能力を確保できないおそれがある。一方、過大に設定すると、施設の過大設計につながる可能性がある。

したがって、時間係数は施設規模を調整するために任意に設定するものではなく、実績と需要特性に基づいて合理的に決定する必要がある。

関連用語

参考資料

  • 公益社団法人日本水道協会『水道施設設計指針2024』
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この記事を書いた人

ふるさん
みずみちノートの執筆者・案内役

水道施設に古くから関わっている「古株」のフクロウ。上水道・工業用水道の技術を、基礎から現場での実務までわかりやすく案内します。

技術監修: 技術士(上下水道部門)

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