- 読み仮名
- かんろのふへいきんりょく
- 英語表記
- Unbalanced force in pipelines
概要
管路の不平均力とは、管内の水圧によって生じる力が釣り合わず、管路や異形管を移動させようとする力である。主に曲管、T字管、片落管、管端部など、管路の方向や断面積が変化する部分に発生する。
不平均力が適切に支持されていない場合、継手の離脱や管路の移動、漏水などにつながるおそれがある。このため、管路設計では不平均力の大きさと作用方向を把握し、離脱防止継手やコンクリート防護工などによって必要な抵抗力を確保する。
1.管路の不平均力の基本
1.1 管内水圧と力の釣り合い
管内の水圧は、管の内面に対して垂直に作用する。一定内径の直管では、管軸方向の圧力による力が通常は釣り合っているため、曲管などと同様の不平均力がすべての直管部に生じるわけではない。
一方、管路の方向や断面積が変化する部分では、圧力による力の方向や大きさが異なる。このため、力が釣り合わず、異形管を移動させようとする不平均力が発生する。
1.2 不平均力が発生する仕組み
水圧による力の大きさは、基本的に圧力とその圧力が作用する面積によって決まる。
F=pA
ここで、Fは力(N)、pは圧力(Pa)、Aは圧力が作用する面積(m²)である。
管内圧力が高いほど、また圧力が作用する面積が大きいほど、力は大きくなる。ただし、不平均力は各方向に作用する力を合成した結果であるため、その大きさと方向は管路の形状によって異なる。
2.不平均力が発生する場所
不平均力は、主に管路の方向や断面積が変化する部分、管端部などに発生する。代表的な発生箇所と力の特徴を次に示す。
| 発生箇所 | 不平均力の特徴 |
|---|---|
| 曲管 | 管路の方向が変化するため、曲がりの外側に向かう不平均力が生じる。 |
| T字管・分岐管 | 主管の左右の条件が対称な場合、管体には枝管の向きと反対方向に不平均力が生じる。 |
| 片落管 | 両端の圧力が等しい場合、断面積の差によって大径側から小径側に向かう不平均力が生じる。 |
| 管端部 | 帽や栓などの閉塞面に水圧が作用し、管端を押し出す方向に力が生じる。 |
| 弁閉止部 | 閉止した弁の前後に圧力差がある場合、弁体に差圧による力が作用する。 |
曲管では、管路の曲がり角度が大きくなるほど、同じ水圧と管径の条件で不平均力が大きくなる。T字管では、主管の左右の条件が対称であれば、枝管方向の圧力による力が釣り合わず、管体には枝管と反対方向の不平均力が生じる。
片落管では、両端の圧力が等しい場合、断面積の差に応じた不平均力が生じる。また、弁閉止部に作用する力が継手や管路の拘束部にどのように伝わるかは、弁の構造や支持条件によって異なる。

3.不平均力の大きさと作用方向
3.1 不平均力と水圧・管径の関係
不平均力の大きさは、管内水圧、管径、管路形状などによって決まる。同じ形状の管路では、一般に水圧が高くなるほど不平均力も大きくなる。
円形断面の面積は、直径をDとすると次の式で表される。
A=πD²/4
このため、圧力が同じであれば、断面積に比例する水圧による力は管径の2乗に比例して大きくなる。特に大口径管路では、大きな不平均力が発生する可能性があるため、異形管防護の検討が重要となる。
なお、管内水圧による力の基本原理を考える場合の流体断面積と、実務上の防護設計で使用する計算断面積は区別する必要がある。日本ダクタイル鉄管協会の技術資料では、管外径による断面積を用いる計算方法も示されているため、採用する設計基準に従って算定する。
3.2 曲管に作用する不平均力
曲管では、管路の方向が変化するため、両端に作用する圧力による力が釣り合わず、曲がりの外側に向かう不平均力が生じる。
両端の管径と圧力が等しい曲管について、静水圧による不平均力の大きさは次の式で表される。
P=2pA sin(θ/2)
ここで、Pは不平均力(N)、pは管内圧力(Pa)、Aは管の断面積(m²)、θは曲管の曲がり角度である。Aには、採用する力学モデルや設計基準に対応した断面積を用いる。
この式から、管内圧力と断面積が同じ場合、曲がり角度が大きくなるほど不平均力が大きくなることが分かる。
不平均力の方向は、曲管両端に作用する圧力による力をベクトル合成して求める。両端の条件が等しい場合、その合力は曲管の曲がりの外側へ向かう。

3.3 設計水圧と水撃作用
管路に作用する不平均力は、管内圧力によって変化する。このため、異形管防護の設計では、通常運転時の圧力だけでなく、必要に応じて水撃作用などによる圧力変動を考慮する。
水撃作用は、弁の急閉鎖やポンプの急停止などによって、管内圧力が急激に変化する現象である。過渡的な圧力上昇によって不平均力が増加する場合があるため、適用する設計基準に従って設計水圧を設定する必要がある。
なお、ここで示した不平均力の基本式は、静水圧による推力を説明するものである。流れの方向や速度の変化に伴う運動量変化による力とは区別して扱う。
4.不平均力への対策
不平均力への対策には、離脱防止継手による管路の一体化や、コンクリート防護工による支持などがある。採用する方法は、管種、継手構造、管内圧力、地盤条件などを考慮して選定する。
4.1 離脱防止継手と一体化長さ
離脱防止継手は、継手部分に管軸方向の引張力に抵抗する機能を持たせ、管の抜け出しを防止するものである。
異形管の周辺で必要な範囲の管路を一体化することにより、管と周辺地盤との摩擦抵抗や地盤反力などを利用して不平均力に抵抗する。このとき、一体化が必要な管路の長さを一体化長さという。
一体化長さは、管径、設計水圧、曲がり角度、土被り、地盤条件、継手形式などによって異なる。このため、一律の長さを設定するのではなく、適用する設計基準や継手の技術資料に基づいて決定する。
なお、一体化された管路の抵抗機構は継手形式や設計方法によって異なり、管と土の摩擦抵抗だけでなく、管背面の地盤反力や継手の曲げ剛性を考慮する場合もある。
4.2 コンクリート防護工
コンクリート防護工は、曲管や分岐管などの周囲にコンクリートを設置し、不平均力に対して必要な抵抗力を確保する方法である。
防護工では、管路に作用する不平均力を防護コンクリートに伝え、周辺地盤の抵抗などによって支持する。このため、管路からコンクリートへの荷重伝達と、コンクリートから地盤への荷重伝達を適切に確保することが重要となる。
例えば、水平曲管では、不平均力が曲がりの外側へ作用するため、防護コンクリートの周囲に生じる地盤反力によってこれに抵抗する。実際の反力の大きさや分布は、防護工の形状、地盤条件、変位の方向などによって異なる。
また、コンクリートの形状や重量、周辺地盤の抵抗などを考慮して設計する。特に、地盤が軟弱な場合や地下水位が高い場合には、期待できる抵抗力や地盤の安定性について慎重な検討が必要である。
4.3 耐震継手との関係
耐震継手には、地震時の地盤変位に対して、継手の伸縮や屈曲などによって追従する機能を持つものがある。一方、離脱防止継手は、主に管内水圧による不平均力などに対して、継手の抜け出しを防止する役割を持つ。
耐震継手の中には離脱防止機能を備えるものもあり、継手の拘束機構や異形管防護への適用条件は製品・形式によって異なる。このため、管路の耐震性と異形管防護の両方を考慮し、採用する継手の構造や設計条件を確認する必要がある。

5.設計・施工上の注意点
5.1 設計条件の確認
異形管防護の設計では、不平均力の大きさだけでなく、それに抵抗する管路や周辺地盤の条件を確認する必要がある。
特に、管路の埋設深さ、土被り、地下水位、地盤の強度、管種、継手形式などは、防護方法や必要な一体化長さに影響する。また、曲管の角度や分岐管の管径、将来の運転圧力の変化なども考慮する。
設計水圧の設定に当たっては、通常の運転圧力に加え、水圧試験時の圧力や水撃作用による圧力変動などを、適用する設計基準に従って確認する。
5.2 施工時の防護と水圧試験
施工中は、管路周辺の埋戻しが完了していない場合や、掘削によって地盤の拘束が失われている場合がある。このような状態では、完成後に期待する地盤抵抗を十分に得られないことがある。
特に、管路の水圧試験や既設管との接続工事では、試験水圧や管端部に作用する力を考慮し、必要に応じて仮設防護を設ける。
また、離脱防止継手の施工では、所定の接合方法や施工管理基準を守り、必要な拘束性能が確保されていることを確認する。
6.水道・工業用水道における活用
水道や工業用水道の送水管・配水管では、曲管、分岐管、弁室周辺などに不平均力が発生する。このため、管路の設計段階から不平均力を考慮し、管種や継手構造、地盤条件に応じた防護方法を選定する必要がある。
特に大口径管路では、管内水圧が比較的低い場合でも、断面積が大きいため不平均力が大きくなることがある。また、ポンプの起動・停止や弁操作などによる圧力変動にも注意が必要である。
既設管路の更新や改良工事では、既存の防護工や継手の拘束条件が変化する場合がある。このため、管路の切断、分岐の新設、弁の交換などを行う際にも、不平均力と防護構造の関係を確認することが重要である。
管路の不平均力に対する安全性を確保するには、発生する力の大きさと方向を把握し、管路・継手・周辺地盤が一体となって必要な抵抗力を確保できるようにすることが基本となる。

